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三浦レポートを考える: 4つの症例報告と検証における3つの視点

三浦レポートとは・・・
1991年、厚生科学研究として「脊椎原生疾患の施術に関する医学的研究」と題した報告書が提示されました。この研究は、当時非国際基準カイロプラクターによる施術ミスによる患者の訴えが相次ぎ、厚生労働省(旧厚生省)が東京医科大学の三浦幸雄教授に研究をゆだね、他7名の整形外科が研究協力者として行われました。これが通称「三浦レポート」と呼ばれています。

三浦レポート4つの症例報告に対する医学博士の見解

 報告書には、日本臨床整形外科医会の会員から報告されたカイロ治療の被害例として4症例が具体的に示されています。これらは、「国民の健康を守る立場からカリオプラクティックの危険性を明確にする義務がある」という報告書の使命に沿う症例で、カイロプラクターの資質の問題とカイロ治療の危険性を併せ持っています。しかし、医学的知識と臨床経験をもつ筆者の眼には奇異にさえ感じる部分がありました。カイロの肩を持つ医師だからではありません。中立な立場の一医師として呼んだとしても、多くの疑問点が存在するのです。

これらの症例の問題点については、過去にもカイロプラクターが論文の中で指摘しています(井上聡:「脊椎原生疾患の施術に関する医学的研究」の非科学生. 日本カイロ学会誌8:111-115,1992)。井上は、以下の【症例1】の病態に関するコメントの矛盾点を具体的に考察しています。本稿であらためて検証を行いました。

検証における3つの視点

今回は、3つの支点から各症例の検証を試みました。すなわち、

1. 純粋に医学的な立場から症例を懸賞すること(医学的側面)

2. 症例において問題視されるはずのカイロプラクターの資質を懸賞すること(カイロ的側面)

3. 真実を追求する眼を持つカイロを学ぶ整形外科医師として、症例の事実性、真実性について検証すること(症例の事実性)

です。中立的な立場で解説する決意で事に臨んだ。しかし実際には、糾弾されているカイロの側に肩入れしているような、過言とも受け取られない私見も部分的には存在します。この稿を通読されれば、筆者が過言に至った必然性をご理解いただけるはずです。さあ、では4つの症例のうち、一つ目をご紹介しましょう。

症例の検証

提示されている4つの症例をそれぞれに解説を試みました。但し、すべての症例でカイロの施術内容に関する具体的な治療手段が用いられるが、行われた施術は、一般的に危険性の標的にさらされている脊椎マニュピュレーションと仮定しました。

三浦レポート症例1 49歳 女性
主訴:頸の痛み
(現病歴)カイロプラクティックにて、頸の痛みの治療を受けた。音がしないと3回矯正された後、痛みも軽減せず、頭重感、食欲不振、両手のだるさが出現。
(Xp所見)生理的彎曲が逆転し、C5/6頂点の後彎変形があり、C3/4での軽度前方すべり、C5/6での著明な椎間板変性とC5下面C6上面における変形性変化が著明である。同レベルにおける椎間孔は、右側でやや狭くなっている。
(コメント)本例は、変形性椎間症が基礎疾患として存在していたものに、調整術により、神経根症状を招来したものである。

【解説1】

カイロ的側面

カイロプラクターは脊椎マニュピュレーションに伴うクラック音を目的に施術しているわけではありません。したがって、同じ部位を繰り返し施術したことの問題点は、その施術者の技量の未熟さクラック音を追求するその信念にあります。ましてや主訴が軽減するどころか新たな症状も現われており、施術者個人のみならずカイロ自体の危険性まで言及されても不思議ではありません。

ちなみに、頚椎症性変化の存在は脊椎マニュピュレーションを避けるべき直接的理由ではなく、施術したこと自体を医師側が問題視しているわけでなはないことが読み取れます。

医学的側面

一方、医学的な視点でみると、症例に対するコメントには医学的根拠が乏しい。すなわち、神経根症状であると断言するに証拠不十分なのです。「頭重感、食欲不振、両手のだるさ」では、神経根症状であると断定するには足りません。参考までに、神経根症状についての教科書的な記載を紹介しておきましょう。研究医の入門書である「頚椎の外来」(メジカルビュー社)では、

「上肢や肩甲帯部の疼痛、しびれ、知覚障害、筋委縮など。片側症状であることがほとんどである。」

と記載されています。

神経根症状であることを導き出す症状に乏しく、それを示唆する検査所見も提示されていないのに、「施術が原因で神経根症状を招来した」と結論づけるのはあまりにも強引なのです。

症例の事実性

医学的な側面に問題があることはすでに述べました。
ご承知のように、こうした公的な文書に虚偽報告はあってはなりません。しかし研究報告者にとっては残念なことは、この症例の事実性は、逆に医師としての診断能力の低さを白日の下にさらす結果となるのです。仮に、部分的にでも脚色があったとしたらどうでしょうか。それはそれで、文書偽造の罪を免れることはできません。

この報告の真実性はいかがなものなのでしょうか?

カイロプラクター村上佳弘レクチャーする人

竹谷内克彰 1972年うまれ。東京都出身。
東京医科歯科大学医学部卒業。
福島県立医科大学整形外科で9年間臨床と研究に携わる。
東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック講師
医学博士。統合医療学会認定療法士。

「三浦レポートを考える」全バックナンバー

1. 三浦レポートを考える: 報告書に対する過去の検証
2. 4つの症例報告と検証における3つの視点
3. 『症例2: 80歳男性 主訴左下肢痛』に関する解説
4. 『症例3 61歳男性 主訴:両上肢しびれ』に関する解説
5. 『症例4 79歳男性 主訴:左肩痛』に関する解説
6. 三浦レポートに関する解説---最終回

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