整体 カイロの専門学校「東京カレッジ オブ カイロプラクティック」【CCE国際承認校】

 

『症例4 79歳男性 主訴:左肩痛』に関する解説

三浦レポートとは・・・
1991年、厚生科学研究として「脊椎原生疾患の施術に関する医学的研究」と題した報告書が提示されました。この研究は、当時非国際基準カイロプラクターによる施術ミスによる患者の訴えが相次ぎ、厚生労働省(旧厚生省)が東京医科大学の三浦幸雄教授に研究をゆだね、他7名の整形外科が研究協力者として行われました。これが通称「三浦レポート」と呼ばれています。

三浦レポート症例3 79歳 男性
主訴:左肩痛
(現病歴)10年前に左肩痛出現し、医療機関にて後縦靭帯骨化症の診断を受け加療していた。左下肢のマヒが進行したため医療機関再診、入院加療を受けるも改善が見られなかった。
(Xp所見)C1/2レベルよりC4にかけての広汎な混合型後縦靭帯骨化が認められ、C5/6では著明な前縦靭帯骨化がありC4/5での異常可動性があった。脊髄造影では著名な脊柱管狭窄がある。
(コメント)本例は、頚椎後縦靭帯骨化症による脊髄症に対し、カイロプラクティックを行い、器質的障害が極度に憎悪したものである。

【解説4】

医学的側面

脊椎後縦靭帯骨化(OPLL)に伴う片側下肢麻痺の患者に対して2回の施術(おそらく頚椎に対してであろう)を行い、段階的にマヒ症状が出現・悪化した症例です。OPLLに伴う神経症状は、一般的には脊髄症を呈します。おもな症状は手指の巧緻運動障害、歩行障害、上肢や下肢の脱力感、膀胱直腸障害です。症状は所所に慢性的に進行しますが、外傷を景気として麻痺の発症や憎悪がみられることもあります。本症例では、OPLL存在下の施術によって脊髄に物理的・力学的不可がかかったと考えられ、脊髄症の悪化というよりはむしろ脊髄損傷と考えられます。

もしこうした症例を現実に目の当たりにすれば、コメントのような結論にいたることは当然の結末でしょう。

カイロ的側面

2度の施術で段階的に脊髄損傷の症状が現れたと考えられ、カイロプラクターの資質、カイロ治療の安全性が問われて然るべき症例です。既往歴としてOPLLのある片側下肢麻痺の患者に対して脊椎マニピュレーションは行ってはいけません。それは国際基準のカイロプラクターが身につけるべき最低限のマナーです。

1回目の施術後から左上下肢完全マヒとなっている状況で、ご丁寧にも再び施術が行われています。このカイロプラクターは、カイロプラクターとしての資質以前に一般常識人としての人間性が問われて然るべきでしょう。

症例の事実性

医学的側面の項で、筆者は「もし、こうした症例を現実に目の当たりにすれば」という仮定法を用いたことに読者お気づきでしょうか?そう、すべてが真実であるとは思えないのです。中立な医師の立場で解説することを心がけてきましたが、この症例におよんで、さすがの筆者も感情的にならざるを得なくなってしまいました。症例に目を通した国際基準のカイロプラクターたちは、どれだけ疑問をもってこの三浦レポートを読んだでしょうか?全幅の信頼を持って、なるほどとうなずきながら読まれた国際基準カイロを学んでいる学生は、人生新たなスタートを切ることをお勧めします。

本症例では、一度目の施術で右上下肢完全麻痺(片麻痺)をきたしました。店頭などの外傷によってOPLLに伴う頚髄症が悪化(脊髄損傷)する例は決してまれではありません。その場合、多少の左右差をもって両側に症状が出現・憎悪することはあるにせよ、一般的には本症例のように片側性に神経症状が出現することは少ないのです。あえて病態を推測するなら、頚椎片側損傷を受け、左下肢麻痺であった症状が左上下肢完全麻痺(片麻痺)に悪化したと言えなくもありません。この点に関しては若干の疑問を持ちつつも、内容を真実として受け止めておくにとどめましょう。

しかし、疑問が度重なれば、この症例の真実性に疑いを抱かざるをえません。施術によって右上下肢完全麻痺にされた患者さんが再び同じ施術をうけるでしょうか?裁判沙汰になってもおかしくない状況下なのに・・・。患者には治療手段を選択する自由が与えられているとはいえ、完全な片麻痺となった患者が病院ではなくカイロを受診するでしょうか。完全な片麻痺であれば他人の介助なしに独りで受診することは不可能です。したがって付添があったと予想されますが、この患者の容態をみた家族や関係者が、はたしてカイロ受診を肯定するでしょうか?2度目のカイロ治療を受け、遂には四肢麻痺になったといいます。カイロ治療院に救急車が呼ばれ、患者さんは病院に搬送されたのでしょうか?あまりにも出来過ぎた経過です。しかし個人的には、この症例でカイロを憎悪な犯罪者として立件するには画竜点睛を欠いた感が否めません。報告者には、「患者は施術後に呼吸不全を生じ、生死を彷徨った」とは書けない良心があったようです。

カイロプラクター村上佳弘レクチャーする人

1972年うまれ。東京都出身。
東京医科歯科大学医学部卒業。
福島県立医科大学整形外科で9年間臨床と研究に携わる。
東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック講師
医学博士。統合医療学会認定療法士。

「三浦レポートを考える」全バックナンバー

1. 三浦レポートを考える: 報告書に対する過去の検証
2. 4つの症例報告と検証における3つの視点
3. 『症例2: 80歳男性 主訴左下肢痛』に関する解説
4. 『症例3 61歳男性 主訴:両上肢しびれ』に関する解説
5. 『症例4 79歳男性 主訴:左肩痛』に関する解説
6. 三浦レポートに関する解説---最終回

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